ファクタリングの仕組みを完全解説
「銀行融資より早く、安全に資金を確保したい──」そんなニーズから注目されるファクタリング。しかし「結局は借金でしょ?」「手形と何が違うの?」と混同されがちです。ここでは“売掛債権の売却”という本質に立ち返り、仕組み・流れ・メリット/デメリットを網羅的に整理します。
1.ファクタリングの定義
→ 売掛債権をファクタリング会社に売却し、期日前に現金化する取引。
- あくまで「債権の譲渡」であり融資ではない。
- 契約形態は大きく「2社間/3社間」の2タイプ。
2.融資・手形取引との違い
2–1.銀行融資との違い
→ 融資は返済義務あり/ファクタリングは債権売却で返済不要。
→ 銀行は自社の信用力を審査/ファクタリングは売掛先の信用を重視。
2–2.手形割引との違い
→ 手形は有価証券を銀行で割引、審査・期日が必要。
→ ファクタリングは請求書データ等でOK、最短当日資金化。
3.取引フロー(2社間の例)
① 売掛先へ請求書を発行
② 利用者がファクタリング会社にオンライン申込
③ 必要書類提出(請求書・通帳・身分証など)
④ 売掛先の与信審査→買取額・手数料提示
⑤ 契約締結後、買取額を即日入金
⑥ 期日に売掛先から利用者へ入金
⑦ 利用者が入金分をそのままファクタリング会社へ送金し決済完了
(※3社間の場合⑥で売掛先→ファクタリング会社へ直接支払い)
4.2社間と3社間の比較
- 2社間:売掛先に通知せず迅速/手数料高(5〜20%)。
- 3社間:売掛先承諾でリスク低/手数料安(1〜10%)時間がかかる。
5.ファクタリングの主なメリット
5–1.信用情報に影響しない
→ 貸金業法対象外、ブラックリストでも利用可能。
5–2.資金調達スピードが圧倒的に早い
→ 最短数時間で入金、突発的な資金ニーズに対応。
5–3.担保・保証人不要
→ 売掛債権そのものが担保代わり。
6.注意すべきデメリット
6–1.手数料コスト
→ 融資金利換算で割高になるケースも。
6–2. 悪質業者の存在
→ 「審査ゼロ」「買取率90%超」など極端な条件は要警戒。
6–3.継続利用による利益圧迫
→ 仕入れ業種は粗利率とのバランスに注意。
7.安全に利用するチェックポイント
- 手数料相場を確認(2社:5〜15%/3社:1〜10%)
- 日本ファクタリング協会加盟や行政処分歴の有無を調査。
- 契約書で「償還請求権なし」を明記。
- 複数社で見積り比較、コストと入金スピードを検証。
8.まとめ
ファクタリングは「債務を増やさずスピーディーに資金化できる」現代的な調達手段です。ただし手数料や業者選びを誤ると高コスト・トラブルの温床にもなり得ます。仕組みを正しく理解し、他の資金調達(融資・リース等)と比較しながら、最適なタイミング・方法で活用しましょう。
前に戻る