ファクタリングの合法性について解説
銀行融資は審査が厳しく着金まで数週間──資金繰りのタイムリミットが迫る現場で脚光を浴びるのが「ファクタリング」です。 請求書や売掛金をその日のうちに現金化できる反面、「借金と同じでは?」「闇金まがいで違法なのでは?」という疑念も根強いのが実情。実はファクタリングは民法で明確に認められ、経産省も普及を後押しする“合法”の資金調達手段です。 本稿では条文・ガイドラインと併せて、違法と見なされるケースや安全な業者選定のコツを解説します。
1.ファクタリングの合法性 ─ 法的根拠
➜ 事業者が保有する売掛債権を第三者に譲渡・売却する取引であり、民法により明確に認められた完全な合法行為。
- 民法466条
債権は当事者の合意で自由に譲渡できる。 -
民法467条
債務者(売掛先)への「通知」または「承諾」によって第三者に対抗できる。
→ よって「売掛債権をファクタリング会社に売却=違法」は誤り。
2.「譲渡禁止特約」と改正民法
旧来:契約書に「債権譲渡禁止」の条文があると譲渡は無効のリスク。
改正:2020年4月施行の改正民法で“譲渡禁止特約があっても譲渡自体は原則有効”に変更。
・債務者は弁済相手の変更に同意しなくてもよいが、譲渡そのものは有効。
→ 特約記載があってもファクタリングは可能。
3.経済産業省も普及を後押し
- 中小企業の資金繰り円滑化策として「ファクタリング市場の健全化ガイドライン」(2023年)を策定。
- 借入に頼らない資金調達として推奨。
4.「違法?」と誤解される3つの主因
4-1. 給与ファクタリング
- 個人の給与債権を前借り的に現金化。実質は貸金(前払い給与)→ 貸金業登録なし=貸金業法違反。
4-2. 分割払・リボ払い型サービス
- 債権売買は一括決済が原則。分割返済を認めると“立替払=融資”となり登録が必要。
4-3. 闇金まがい業者
- 手数料50%超/契約書不交付/売掛先への脅迫通知など違法行為が横行。
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これらの報道が「ファクタリング=怪しい」という負のイメージを助長している。
5.安全に利用するチェックポイント
- 日本ファクタリング協会加盟や行政処分歴の有無を確認
- 手数料相場:2社間 5〜20%、3社間 1〜10%を大幅に超えないか。
- 契約書に「償還請求権なし(ノンリコース)」を明記。
- 債権譲渡登記の要否・費用負担を事前説明しているか。
- 給与債権や分割返済を勧誘する業者は即除外。
- 複数社で見積り比較し、条件・担当者対応を総合評価。
6.まとめ
事業者向けファクタリングは民法で認められた完全な合法手段です。違法イメージの原因は「給与ファクタリング」や「闇金型サービス」の横行にあります。法的根拠と相場を押さえ、優良業者を選定すれば、安全かつスピーディーに資金繰りを改善できます。
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